「Irino Sketch」のたねあかし
個人新聞「Irino Sketch」(イリノスケッチ)のたねあかしです。
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短歌について

Irino Sketch第1号よりレギュラーゲストの三原由起子さん。
彼女の作品は短歌(+エッセイ)。
その短歌について書いてみたいと思います。


短歌は〈詩〉です。
そして、5・7・5・7・7の31音という規則を持った〈定型詩〉です。
古来、短歌のことを、三十一文字(みそひともじ)というのは、
この韻律のことをいうのです(実際は文字ではなく、音が31なのですが)。
ちなみに、俳句や川柳は5・7・5の17音という決まりがあります。


「なんだ、そんなの学校で習ったから、知ってるよ!」と思うかもしれません。
しかし、「短歌を作ってます」と言うと、よく返ってくる言葉が、「5・7・5ですよね」というのが現実です。
定型詩というのは当たっていますが、多くの人が、短歌と俳句と川柳を、ごっちゃにして覚えてしまっているのです。
短歌は、5・7・5・7・7なのです。


では、実際、三原由起子さんの短歌を、このリズムに従って読んでみましょう。


1・幸福に慣れてしまえば幸福がわからなくなる心がこわい   (創刊号)



この歌を5・7・5・7・7で分けてみます。


・幸福に/慣れてしまえば/幸福が/わからなくなる/心がこわい


見事なまでに定型に則った歌だということが分かります。
では、次の歌はどうでしょう。


2・まず襖を開けて厨に立つ君を眺めてからだは目覚めてゆけり


この歌を同様に区切ってみると、


・まず襖を/開けて厨に/立つ君を/眺めてからだは/目覚めてゆけり


お気づきでしょうか?
そう、この歌は最初の「まず襖(ふすま)を」が6音になっています。
これを〈字余り〉と言います。その逆に音が足りないときは〈字足らず〉と言います。
こういう歌を〈破調〉と呼びます。5・7・5・7・7の調(リズム)を破っているわけです。
でも、〈破調〉だからといって、これが「短歌ではない」ということにはなりません。
なぜなら、作者は定型のリズムを意識して短歌を作っているからです。
そして、作者は、言いたいことや表現したいことを短歌にするために、
字余りや字足らずをおそれていないからです。


では、もう一つ興味深いことを書いてみます。
1と2の歌を、それぞれ文章のように意味が切れるところで読点を入れてみます。


1・幸福に、慣れてしまえば、幸福が、わからなくなる、心がこわい
2・まず襖を開けて、厨に立つ君を眺めて、からだは目覚めてゆけり


1は短歌的に切れば自然にこう切れます(大きなかたまりで切れば、こんなに読点は入りませんが)。
一方、2は短歌の規則で切ると文章みたいにはきれません(さきほどハイフンで区切ったようになってしまいます)。


2のように句と句が切れずに連続した歌の形を、〈句またがり〉と呼びます。
これも立派な短歌で、短歌史には多くの先例があります。


しつこいようですが、短歌は5・7・5・7・7です。
この原則を元に、作者はときに、字余りや句またがりを駆使して短歌を作っています。
短歌の意味や内容が大事なことは言うまでもありませんが、このリズムを意識して、
一首一首を丁寧に読んでみてください。
小説やエッセイとはまた違う、短歌ならではの味わいがあります。


短歌は、その字のごとく、〈短い歌〉なのです。



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Comment
 

生涯勉強。

勉強になるなと。良い意味で、知らない世界の事はやはり、知りたいなと。
世の中、知らない事、分からない事だらけですから。
心から、いりのさんと知り合えて本当に良かったなと。思います。

NAME:純 | 2009.09.29(火) 09:45 | URL | [Edit]

 

純さん♪


コメントありがとうございます!


本当、生涯勉強ですよね!

短歌は編集の仕事で関わってますが、作者ではないので、読者として未知な部分が多く、奥深い魅力があります。


ぼくも、こうして純さんとお知り合いになれたこと、とてもありがたく貴重に思っています☆

NAME:いりの | 2009.09.29(火) 13:28 | URL | [Edit]

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